まず始めにハリー・ポッターの組分けがあった。 組分けでホグワーツの大広間が静寂に包まれたのは初めてではないか。 そんなことを思いながら、スネイプはその組分けを見ていた。 帽子が迷っているのか長い時間がかかった。 ほどなくして声高らかにグリフィンドールと広間内に響き渡き渡ると大きな歓声に包まれた。 親も親なら息子もか・・ スネイプは苦々しげに席へ着くハリーを見ながら記憶の片隅に彼の父親であり、憎きジェームズ・ポッターを思い浮かべた。 そしてリディナを見やれば、彼女は不安そうな顔をしていた。 無理もない、あれだけ悩んでいた。 それを知っているだけに、スネイプの心境は複雑だった。 「リディナ・プリンス!」 マクゴナガルの声が広間内に響く。 自分で指示したとは言え、プリンスと言う名を聞くのが久しぶり過ぎて自分まで体が強張った。 リディナも緊張しているのか手にぐっと力を込めたのがわかった。 ゆっくりとスネイプに背を向けてリディナが座る。 帽子が頭に被せられると、スネイプは息をのんだ。 『リディナ、どの寮に入るかはお前が決めなさい。 結果がどうあれ、絶対に後悔はしてはいけない・・わかったか?』 なんて言っていたのに、今はスリザリンに入れと願っている。 やはり親心が出るのか、それともただのエゴなのか・・・。 ハリーの時よりも長いであろう、組分け帽子の沈黙。 スネイプにとっては一分が一時間に感じるくらいだっからも知れない。 帽子が息を吸い込み、大きな声で言った。 「・・・・グリフィンドール!!!!!!」 自分の考え得る答えの悪い方だった。 「(ルセット)・・・」 ほかの人にとれば些細なことかもしれない。 組分けされた寮のテーブルに着く娘を見ると、少し寂しさが湧いた。 歓迎の宴は和やかに進行したが、スネイプの心は晴れなかった。 地下牢の自室に戻ったのは日付が変わったころだった。 今日のことを思い出し、ため息をつきながら椅子に座る。 机の上に置かれた数少ない写真立て。 中にはリディナの母、ルセットが入っており写真の中の彼女は笑っていた。 写真立てを手に取り眺めながら、スネイプは呟いた。 「・・・あの子は君と同じ寮だったよルセット」 相変わらずスネイプにやさしい笑顔を見せる。 しかし、彼女はもう話しかけてはくれない。 「自分で決めたんだ・・・リディナが」 それの独り言はだれに聞かせるわけでもなくただ、静寂に吸い込まれていった。 「大きくなったよ、僕たちの娘は・・・・」 その顔は嬉しさも、寂しさも滲んだ複雑な表情だった。 (・・・・・父親としては寂しいがな) |