おはなし | ナノ







列車の旅は良いものだ。

普段の移動はポートキーやフルーパウダーなのでこうしてゆっくりとした移動は久しぶりだった。
心地の良い揺れを感じ、車窓から変わりゆく景色を見ながらリディナは近づくホグワーツに思いを馳せる。


既に着替えは終え、長い髪をハーフアップにして白いリボンで束ねていた。

窓の上が少し空いているので時より風が髪を撫でる。
それがまた心地よくてつい、ウトウトしそうになった。

しかし周りの騒々しさは惰眠を貪る隙さえ与えてはくれない。
コンパートメント席から廊下を見れば、様々な学年の様々な子どもたちが行き交い、魔女のおばさんの車内販売も賑わっていた。


その様子を眺めていると、トントンとコンパートメント席の扉がノックされた。

「すまない、この席空いてるかな?」
「えぇ、空いてますよどうぞ」

金髪の男の子が友達二人を引き連れリディナのコンパートメントに入り席に腰をかけた。

「助かった。他はどこも満席で・・・・ん?」

席に着くなり彼はリディナの顔を見て不思議な声を上げた。
そんな彼にリディナも首を傾げた。

「・・・もしかして、リディナか?僕だよ、ドラコ。ドラコ・マルフォイだよ!」
「ドラコ・・・・・・あ!」

言われた名前に思い当たりリディナも思わず声を上げた。

彼はドラコ・マルフォイ。
リディナとは父親同士が知り合いの為、幼い頃に出会い同い年と言うことで何かと気が合い遊んだりしていた。
尤もスネイプがルシウス、ドラコの父親を好いてはいなかったので二人もそんな頻繁に会っていた訳ではなかった。

しかし言われてよく見れば幼い頃のドラコの面影も残っている。

「覚えていてくれたのかい?」
「うん、ドラコ・・くん久しぶりだね」

いくら昔に仲が良かったとは言え、親しき仲にも礼儀とリディナがぎこちなく君付けで呼べば

「昔みたいにドラコでいい」

とにこやかに手を差し出されたので「うん」と応えてリディナは差し出された手を握り替えし二人は再会を喜んだ。



「そう言えばお父上は元気かい?」

ドラコと共に入ってきた二人とも挨拶を交わし、会話をしながら雰囲気に馴染んで来たところでドラコはスネイプの話題に触れた。

「父さまは元気よ。
そういえば・・ドラコはスリザリンに入りたいの?」
「もちろんさ!父上もそれを望んでるし、マルフォイ家としては当然だろう!」

「もちろんリディナもスリザリンだろ?スネイプ先生の娘だし・・・」

ドラコの問いかけにリディナは少し俯きながら答えた。

「それが・・・・わからないの」

「わからないって・・
先生はスリザリンに入れと言わなかったのかい?」

不思議そうな顔でドラコが言ってきた
スリザリンの寮監の娘なのだから当然スリザリンに入ると思っていたからだ。

「父さまは、私に後悔はするなって言ってたわ。

それに娘だからって特別扱いしないようにって私、学校に居る間はスネイプの姓ではないの」

「え・・・・そうなのかい?」

ドラコは目を丸くして驚いていた。
教師の娘と言う特権を使わないなんて馬鹿げてると思ったが、そこまでは言えなかった。

幼い頃の僅かな間の関係とは言えリディナの性格は薄々理解していたつもりだったからだ。

きっとリディナ本人もそう望んだことなんだろう。
そこまでドラコは考えると優しく微笑みながらリディナに言った。

「僕はリディナをスリザリンで待ってるから、考えておいてくれよ」

ドラコからも理解を得られたのが嬉しいのかリディナはありがとうと笑顔で告げた。



「ところで・・・今はなんて姓なんだい?」

リディナが先ほど言っていたことが気になり、ドラコが聞いた。

「今はリディナ・プリンスよ。間違えないでねドラコ!」
「あぁ、間違えてリディナ・スネイプなんて呼んだら大変な事になりそうだな」
「特に父さまの前ではね」


笑い声がコンパートメントに響き渡る頃、列車はホグズミード駅に到着した。









(ドラコ格好良くなってたなぁ・・・)

(リディナ可愛くなってたな・・・)



(・・・列車はまだ着かんのか!)
(セブルス、落ち着きなさい!)






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