05 きっと
最近、ホウオウの眼前に立つ人物の影がより鮮明になってきている。
それは何を表すのだろう。
その瞬間が、もう近いということなのか。
「この前、タンバの海岸で海の上を走り去るスイクンを見たんだ!」
「へぇ、すごいね」
ミナキくんにはこの予兆のことを言っていない。
ミナキくんがこうして嬉しそうに(主にスイクンのことを)喋っているのに水を差したくはないからね。
「それとな、ヒビキとバトルした」
「へぇ、……えっ?」
同じように相槌を打とうとした僕は、ハッと顔を上げた。
ミナキくんは、遠くを見ていた。
「スイクンはヒビキを特別視し、彼が自分に相応しいか見極めているように見える……。だから彼に勝てばスイクンの瞳に映ることができるかと思ったんだが――あっさり負けてしまったよ」
そう言うとミナキくんは、僕のほうを向いていつもの笑顔を浮かべた。
ああ、きっとミナキくんも感じてるんだ。
この不規則な予兆を。
きっと
(未来はもうすぐ)