01 なぜだか
「マツバー!!」
今まで見たこともないような満面の笑顔で抱きついてくるもんだから、僕はすごくドキドキしてしまった。
「どっ、どうしたの?」
「今日スイクンに会ったんだ! しかもこーんなに近い距離でだ!」
残念なことに割とすぐに僕を腕の中から解放したミナキくんは、ジェスチャー付きでマシンガントークを始めた。
「スイクンかぁ……」
「美しいスイクンの瞳までもがはっきりと見えたぞ! それはもう孤高で強く美しく――」
ミナキくんをこんな顔にできるのは、スイクンだけ。
そう思うと、なぜだか胸が苦しくなった。
なぜだか
(ポケモンに嫉妬するなんて)