時をかけるN
□ プロローグ 1/1
信念。覚悟。意地。
そういったものをもっていた――はずだった。
可哀想なトモダチを救うべく立ち上がった英雄は、所詮作り物にすぎなかった。
一人の男の欲望から生まれた虚構の人間だったのだ。
偽物の英雄は、本物の英雄に負けた。彼女の強さが本物だった。
信念が丸々崩れ落ちた自分を、彼女やチャンピオンは快く受け止めてくれた。
それでも、これ以上彼女達の傍には居られなかった。
自分自身で、もっといろいろなものを見て知っていかなくてはならないと思ったから。
いつかまた会うとき、彼女達と胸を張って顔を合わせられるように――。
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