時をかけるN
□ 集結と終結 1/11
「ああ……サカキさま」
地下の奥深く、アポロはそこで一人――いや、伝説のポケモンとともに静かな時間を過ごしていた。
部屋の中にある壁時計が、一定のリズムで動いている。
時計の針の音が、妙に大きく感じる空間だ。
アポロは恍惚とした表情で檻の中のセレビィを見つめた。
「ラジオ塔のとき……私は高みから世界を見下ろし、サカキさまを待っていました。しかし貴方は現れなかった……。今、地底の奥底から私は貴方を迎えに参ります。そしてロケット団は永遠に不滅となるのです」
檻の中で暴れてボロボロになったセレビィは、虚ろな目でどこかを眺めていた。
「サカキさま……今、会いに行きます」
アポロがゆっくりと、檻に手をかける。
そのとき、部屋の入口が何者かの手によって開かれた。
- 112 -
[prev|next]