時をかけるN
□ 最優先事項 8/10
「ゲンガー、一気にとどめをさすよ」
「忘れてもらっちゃ困るぜ」
薄まってきた煙から見えたラムダは、歪んだ笑みを浮かべていた。
「俺様はジム戦しに来た善良なトレーナーじゃねぇ、泣く子も黙るロケット団ってことをよ!」
ラムダの言葉を合図に、先程の攻撃でかなりのダメージを負ったドガースが渾身の力で肉弾を投じる。
ゲンガーへ――ではなく、トレーナーであるマツバへ向かって。
「――!」
ゲンガーのほうへ神経を集中させていたマツバは、一瞬気が途切れる。
ラムダはその瞬間を待っていたかのように、叫んだ。
「じばく!!」
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