時をかけるN
□ 接触 9/10
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「え、なっ、待てよ――」
慌てて呼びかけるも虚しく、ポケギアから返ってくるのは単調な機械音のみだった。
「チッ、切れたか……」
仕方なくポケギアをしまう。
通話が切れる間際のあの焦った様子――Nの身に何かが起こったと考えるのが普通だろう。
「ロケット団に捕まってんのか……あいつら、まだ下らないことを」
あの黒服を思い浮かべるだけで腹が立つ。
今すぐ潰しに行きたいところだが、彼らの居場所を確認しなければならない。
Nが言っていたことを一つ一つ思い出す。
「外は明るいのに薄暗い……窓もない……地下のアジトか? でも滝の音が……滝…………!」
頭に一つの答えが浮かび上がった。
「あそこか!」
シルバーは即座に手持ちのポケモンを出すと、そらをとぶを命じた。
「待ってろよ……!」
その言葉はNに向けて言ったものなのか、ロケット団に向けたのか、シルバー自身も分からなかった。
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