時をかけるN
□ 接触 3/10
「――セレビィ!!」
傷ついたセレビィの姿に、今まで何とか腰を据えていた気持ちが切り崩される。
今にもセレビィの元へ駆け出そうとするNの必死な姿を嘲笑うかのように、ラムダがNの腕を掴んで離さない。
「随分と心配されているようですが……やはりあなたがこのセレビィの持ち主ですか?」
アポロが問い掛ける。
違う――と言い掛けて、Nは動きを止めた。
彼らは“やはり”と言った……つまり、Nがセレビィの持ち主だと予測してここまで連れてきたのかもしれない。
ここで“違う”と言ってしまえば、次に狙われるのは――
「そうだよ。セレビィはボクのトモダチだ」
気付けばそう口走っていた。
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