時をかけるN
□ 宣戦布告 10/11
「覚えてもらえているとは光栄だ」
ラムダが茶化すが、それにつられて笑うような者はこの場に居なかった。
「ここは選ばれた者以外は入れない神聖な場所だ。出ていってくれるかな」
マツバが憤りを押し殺したような声でラムダに言った。
Nはただ、展開を見守るしかできない。
「いいぜ」
あっさりとした返事がきた。
「作戦は失敗しちまったから、もうこんなところに用は無いぜ」
「作戦……?」
マツバが眉をひそめる。
「ホウオウ捕獲大作戦! ――と言ったら?」
ラムダが高らかに発した言葉に、マツバは一瞬言葉が出なかった。
その間に溢れ出てきたのは、紛れもない怒りだった。
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