時をかけるN
□ 宣戦布告 7/11
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スズの塔というのが何か分からなかったNは、控えめに最後尾を走った。
着いたのは、不思議な雰囲気を感じる何重にも渡る高い塔。
「すみません。ちょっと緊急なので通して下さい」
マツバは塔の横にある建物に入り、そこにいた僧侶たちに断りを入れた。
「マツバさまのお連れなら大丈夫です。どうぞ」
彼らは快く道を開けてくれた。
なかなか厳重に守られていることから、ただの塔でないことはNにも察することができる。
「この先は神聖な場所なのにっ……」
早足で歩きながらマツバが唇を噛む。
展開によく着いていけないNは、その背中を追いかけるしかなかった。
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