時をかけるN
□ 宣戦布告 4/11
「む。なんだ?」
「なんだじゃないよ。ミナキくんがそうやって話始めたら止まらなくなっちゃうんだから。ごめんねNくん?」
マツバが苦笑しながらNを気遣う。コトネとヒビキに至っては、ミナキが口を開いたときから暇そうにポケギアをいじっていた。
「ボクは別に構わないけれど……ミナキさんは、そのスイクンというポケモンが好きなんですか?」
ミナキは、一番の笑顔を見せた。
「ああ! 大好きだぜ!」
あ。この人は、大丈夫だ。
Nはそう確信した。
ミナキのポケモンへの愛を感じられるのが嬉しかった。
「じゃあミナキくん。せっかく来てくれて悪いんだけど、僕等はちょっとやらなきゃいけないことがあるから、書庫まで一人で行っててくれる? 勝手に見てていいから」
マツバはミナキに諸事情を教えるつもりはないようだ。たまたまやってきた人間に、一々説明するのも骨が折れる。
だが、次のミナキの一言で穏やかな雰囲気は一変される。
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