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時をかけるN


□ 別れ際の微笑 2/7

「そうですね。いろいろ損害はありますが、団員が減ってしまったのは大きな痛手ですね……これからは少数精鋭になるかもしれませんね」

 アポロが何か意味を孕んだ口調で言い放った。
 現トップの言葉に、したっぱたちはぴたりとお喋りを止めた。


「そんな悠長なこと言ってる場合なんですか?」

 ランスが咎めるように言った。
 作戦の失敗は無論自分のミス――子供との勝負の敗北――も充分にあると分かっていても、この散々たる結果に納得することはできない。

 何よりこの、上司の勿体ぶったような口調に苛ついていた。


「ランス、あんま気ィ立てんなって」

 ランスの気持ちをいち早く察したラムダが、ランスの肩を軽く叩いた。

「おいアポロ、俺はお前があそこで潔く解散宣言でもするかと思ったんだが」

 “解散”という単語を出した途端、したっぱたちが一瞬騒めく。
 危惧していながらも、誰も口に出せなかったその単語に。

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