時をかけるN
□ 彼女の面影 6/7
「コトネちゃんてば……」
「いや、彼女の言う通りだよ」
ヒビキは苦笑いを浮かべたが、マツバは真剣にコトネの意見を受けとめた。
「もし彼ら――ロケット団の手にセレビィが渡っていたら、既に危険な状態かもしれない。セレビィの姿くらいは知っているだろうし、調べればすぐにセレビィの類い稀なる能力が知れ渡る」
「ただ、ボクはロケット団にセレビィを盗まれたりしたわけじゃない。ボクが目を離していたせいでいつの間にか居なくなったのだから、盗られた確信はとれないよ」
マツバの言葉も最もだったが、Nにはどうしてもその事実が不明瞭であることを提示したかった。
「……ボクのそばに居るのが嫌だっただけかもしれない」
セレビィは動揺こそしていたが、自分への嫌悪感は感じ取れなかった。とはいえ、それすらも確証のあることではない。
まだ記憶は新しく、Nはポケモン全ての想いを知った気になり、本当は全然理解していなかったということを知らされたのだから。
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