時をかけるN
□ 彼女の面影 3/7
「何だか早口だねー。あっ、あたしはコトネ! それで、この子がマリルっていうの!」
二つ結びの活発そうな女の子が続けて自己紹介した。マリルはコトネの腕の中でゾロアを物珍しそうに凝視していた。
「ぼくはヒビキだよ! こいつが相棒のバクフーン。よろしく!」
背中に大きな炎を携えたポケモンが、少年の隣で自分の存在を示すように小さく鳴いた。
「キミたちのポケモン……」
「えっ?」
「いや、何でもないよ。よろしく」
マリル、バクフーン。二人のポケモンから感じ取った感情は、あの日と同じだった。
――カラクサタウンで、彼女と彼女のトモダチと出会った日。
彼女のポケモンが言っていたことと同じことを、目の前のポケモンたちは言っていた。
・・
二人の笑顔から、ふと彼女の面影を感じたのだ。
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