時をかけるN
□ 彼女の面影 2/7
客間とでも表すべきか、Nが泊まった部屋と同じくらいの広さの部屋にマツバとNは辿り着いた。
躊躇いもせずマツバは襖を開けた。
そして中に居る客人を確認した。
「おはよう。久しぶりだね」
朗らかな様子でマツバが言えば、客人はマツバの前まで歩み寄ってきた。
「「おはようございます!」」
・・
二人は元気よく挨拶した後に、マツバの背後の存在に気付いた。
「あっ、あの……?」
「もしかして……?」
マツバが一歩下がり、Nを二人の前に出して答える。
「この子が電話で話した子だよ。ね?」
「ボクの名前はN。こっちはゾロア。えっと……ジョウトには来たばかりだから分からないことが多いけど、よろしく」
マツバに話を振られ、Nは二人をまじまじと見つめながら自己紹介した。
自己紹介と言っても、大まかな事情はマツバを通して知っているだろうし、特に言っておくべきこともなかった。
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