時をかけるN
□ 一瞬のうちに 2/2
祠の裏側から気配を感じるのだ。
普通の人間なら感じないようなそれは、きっとポケモンが隠れているのだろうとNは即座に思った。
まだジョウトでのポケモンを見たことがない。ここは森のようだから、虫ポケモンだろうか。
まだ見ぬ新たなトモダチとの出会いに少し胸を躍らせながら、祠に近付いてみた。
そのとき、
「セレビィー?」
少し遠くから少年と思しき声が聞こえてきた。
突然の人の声にNの肩がはねると同時に、少年の声に反応したポケモンが祠の後ろから飛び出てきた。
「わっ――!」
「ビィ!」
綺麗な萌黄色の姿が視界に突っ込んできた瞬間、Nは蒼い瞳を間近に見た。
そして一歩も動くこともできないまま、Nは目映い光に包まれた。
「――あれ? セレビィ? どこ行っちゃったんだろう……」
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