時をかけるN
□ エンジュシティ 8/10
心当たりがあると口にするや否や、マツバはポケットからポケギアを取り出した。
「早速確認してみるね」
Nの返事も待たずに、どこかへ電話をかける。
「――あ、もしもし?」
Nが何か言うより早く、相手と繋がったようで、思わず口をつぐんだ。
「うん、久しぶりだね。へぇ、そうなんだ。じゃあ――」
電話の内容を横から盗み聞きするのもどうかと思い、微妙に距離をとったがあまり意味はないようだった。
マツバが事情を掻い摘んで説明するのを、ドキドキしながら聞いていた。
「――というわけで、セレビィを探してるんだ」
ポケギアから声が聞こえる。しかし内容までは聞き取れなかった。
「そっか、ありがとう。じゃあ明日ね」
通話を終えたマツバがNのほうを向く。
どういう会話があったのか、Nは聞く体制に入る。
- 38 -
[prev|next]