時をかけるN
□ エンジュシティ 3/10
「ここがこの町のポケモンセンター。向こうに見えるのがジムだよ。僕の家はもうちょっと奥のほうだから、もう少し歩くよ」
目の前にあるポケセンを見上げ、Nは首を傾げた。
「屋根の色が――」
「よく気付いたね。エンジュのポケセンやフレンドリィショップは町の景観に合わせて色を抑えているんだ」
「そうなんだ……」
だからこんなにも、町に溶け込んでいるのか。
来たばかりの町に、Nは愛着のようなものが湧いてきた。ここは、誰をも包み込んでくれるのかもしれない。
ここに来るまでのことなど、リセットされて。
「ここだよ」
マツバが人差し指を斜め上に向けた。
エンジュから奥まった場所に、平屋の日本家屋があった。エンジュの雰囲気に合っている気がする。由緒正しい家柄なのかもしれない。
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