時をかけるN
□ 新たな出会い 4/9
「アカネちゃんってば、またそうやって見知らぬ人に……」
彼女の後ろから顔を出したのは、荷物持ちにされていた男性だった。
「マツバ! だってうち、こんなかわいーポケモン初めて見たんやもん!」
彼女が満面の笑みのまま彼に話す。彼もつられたように笑みをこぼす。
そして、彼女の撫でているそれをまじまじと観察するように眺めた。
「……確かにこの辺では見ないポケモンだね。まぁカントー地方にしかいないのもいるからね。もしかしたら旅中の人とか――」
「えっと……ボクはイッシュ地方から来ました」
彼の言葉を聞いてNがそう言うと、二人の動きが一瞬だけ止まった。
「……いっしゅ?」
女の子がNの言った単語を確かめるように繰り返した。
「イッシュ地方て、あんたそんな遠いとこから来たんか!?」
そして数秒遅れてやってきた驚きを、大きなリアクションで表した。
「へぇ……すごいね。イッシュ地方からここまでの船は無いはずだけど、どうやってきたんだい?」
男性も驚きを示し、興味をもったようでさらに問う。
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