時をかけるN
□ 隠したカード 3/7
「はぁ……」
ため息をつかれた。
「出口なら、そこの階段下りて真っ直ぐいけば分かる」
「えっ、でもポケモンが……」
「ここはロケット団に占領されてるから、お前のポケモンも盗られてる確率が高い。諦めろ」
「盗られ……?」
ポケモンが盗られる?
奪う、ということ?
蘇る記憶は、ポケモン解放というはりぼての目標を掲げていたあの頃。
「あいつら一人じゃ弱いくせに、大勢で威張り散らしてんだよ。俺は今からそいつらを倒しに行く。お前のポケモン、見つけたら預かっとくから」
Nの表情をどう受け取ったか、少年は頭を掻きながらそう言った。
伝わってくる。
「ありがとう。優しいね」
「べ、別にわざわざ探してやるわけじゃないからな。見つからなかったら知らないからな!」
不器用な優しさが、今なら体の底にまで響く。
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