時をかけるN
□ 隠したカード 2/7
「ラジオ塔の関係者か? ならこの辺は危ないぞ」
「ラジオ、塔……?」
Nは首を傾げる。
その動作に少年もまた小さく首を傾げた。
「は?」
「え?」
「何でここに居るんだ?」
「えっ……と、それは……」
相手は年下のはずなのに、Nのほうが口籠もって小さくなっていた。少年の高圧的な態度のせいもあるかもしれない。
「あ、そうだ! 緑色の綺麗なポケモンを見なかったかい? ボクはそのポケモンを探しているんだ」
目つきは鋭いが、戦闘を仕掛けてこないことからいって、敵ではないはずだ。そもそも、何が敵なのかも分からないが。
それなら、今は居なくなってしまったセレビィを探すことが大事だと判断したのだ。
「見てないけど……もしかして、迷子か?」
何だか軽く呆れられたような視線を向けられている気がするが、ここがどこだか全く分からない自分は迷子に違いない。Nはこくりと頷いた。
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