時をかけるN
□ タイムスリップ 11/11
「ゾロア、大丈夫?」
怪我は無さそうだが一応確認を取ると、ゾロアは勝利を喜ぶようにNの回りを元気に駆けて回った。
「ふふ、ありがとう。ゾロア」
自分のために戦ってくれて。
知らない場所でも、こうやってトモダチと笑いあえる。それはNに、心の余裕を少しだけ取り戻させた。
「ねぇ、セレビィ。ここは――」
振り返って、Nはきょとんとする。
「――――セレビィ?」
ただただ廊下が後ろにはあって。セレビィの緑の光はどこにも感じられなかった。
「セ、セレビィ!? どこ?」
焦って呼びかけるも返事はない。
代わりにNの耳に入ってきたのは、背後から近付く足音だった。
「おい、何してるんだ」
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