時をかけるN
□ タイムスリップ 10/11
「ゾロア! だましうちだ!」
コラッタに向かって突進するゾロア。コラッタは素早く避ける。
「今だ!」
ゾロアは避けたコラッタの背後から、渾身の一撃をかました。
「コラッ!!」
コラッタは倒れた。
「な……たったの一撃で……!?」
目を回す自分のコラッタと満足気にNの下へ戻るゾロアを交互に見て、信じられないといった声を上げる男。
どうやら素早さは元々高いようだが、大した育成は行っていないようだ。
「勝負はもう着いたよ」
Nがキッパリとそう言うと、男は舌打ちしてコラッタをボールへ戻した。
「ちっ、これだからしたっぱは嫌なんだ!」
「あなたのポケモン、すごく弱っていたよ。きずぐすりを使ってあげなくちゃ」
Nはポケモンを心配して男に歩み寄ったのだが、男はNを睨み付けてから背を向けた。
「うっせーなぁ。お前なんか、ランスさまにやられちまえ」
捨て台詞のような言葉を吐き、男は去っていった。
Nは行き場のない手を、静かに下ろした。
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