時をかけるN
□ 時を越えてく思い 1/2
セレビィは何を思ってこんな会話を聞かせたのか。
「ねぇセレビィ――」
その問いを最後まで言うことはできなかった。
「ビィ…!」
「きゃあ! また!?」
「うわっ!」
セレビィの力によって、再び時空を旅させられる。
今度はほとんど一瞬といっても過言ではないほど、短い旅だったが。
「あれ……? もしかして私たち、また過去に移動したの? それとも未来?」
「しっ、静かに」
困惑するコトネに、Nは口に指を当てて言葉を止めさせた。
自分はもうこのタイムスリップに慣れてきているのかもしれない。我ながら才覚があると思う。
全員ついさっきまでドア越しに盗み聞きしていた体勢のままだ。
さっきと違うのは、そこにあるのがドアではなく、ダンボール箱の山であるところだ。
「このダンボールの向こうに誰か居る」
なるべく声を響かせないようにNは他の三人に伝えた。
ダンボールの山から少し頭が飛び出していたシルバーは見つからないように素早く身をかがめた。
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