時をかけるN
□ 変わらないもの 10/10
「なんとなくの噂だったから本当かは分からない。まぁあいつにはもともと家族なんてどうでもいい存在だったんだろう。親父を崇拝してロケット団に入って、すぐに幹部まで出世したしな」
「そう……なんだ……」
シルバーの話に、最低限の相槌を打つことしかできないヒビキ。
コトネはどうして良いか分からない様子で俯いている。
そんな中、Nは割と冷静に考えていた。
シルバーの話が真実なら、あの幹部はロケット団の悪事に感謝しているということだ。世間から見れば悪者でも、彼に取っては救世主だったのかもしれない。
正義の反対は悪ではない。悪は別の正義になり得ると、Nは身をもって知っていた。
それにしてもセレビィは、何故このような場面を自分たちに見せたのだろう。
何かを伝えたいのだろうか。
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