時をかけるN
□ 変わらないもの 7/10
Nの言葉に反応して、他三人もそのドアを凝視する。
「ほ、本当だ……これ、あの部屋のドアだ」
ヒビキが呟くと、シルバーとコトネもそれに頷く。
「じゃあ、ここはあいつらの過去のアジト……」
「おそらくそうだろうね。さっきまでボクたちが居た“ここ”は、所々しばらく誰も使っていなかったような古びた雰囲気があった。でも今の“ここ”は……できて数年ってところだろう」
シルバーが眉を寄せる。
ヒビキは、セレビィがどこかへ行かないように腕の中で抱いている。
「セレビィは何でこんなところに連れてきたんだろう……」
セレビィの真意はその持ち主でも理解できないようで、ヒビキは困り顔だ。
しかしNにはポケモンの声が分かる。
「セレビィ、どうしてボクたちを――――」
問おうとした声を、Nは反射的に止めた。
ドアの内側から、聞き覚えのある声が聞こえてきたからだった。
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