時をかけるN
□ 変わらないもの 4/10
「Nは、何であいつらを庇ったの?」
ヒビキの瞳は真っ直ぐNへと向いていた。
「庇うって……」
Nは自分が言ったことを思い返す。
――『ただ、信念を貫いただけじゃないか』
「別に、庇ったわけではないよ」
ヒビキを安心させるようにNは微笑む。
それでもヒビキはあまり腑に落ちない様子だ。
「でも……」
Nは少し困ったように目を細めた。
「確かに彼等がしたことは許されないことだと思う。でもそれが彼等の信念に則った行動であれば、一方的に責めることはできない……」
そうでないと、自分は一生自分を責め続けるだろう。
今の自分が居るのは、こんな自分を許してくれたあのチャンピオンたちのおかげだ。
Nはそれをひしひしと感じていた。
そしてNは、信念を立て直す機会をもらったことに深く感謝している。
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