時をかけるN
□ 集結と終結 7/11
「!?」
予想外の動きに、アポロが端無くも目を見張る。
ヒビキの周りをくるっと回り、セレビィもまたアポロと対峙する体勢になった。
「セレビィ……!? どうしたんです、こっちへ戻りなさい!」
「無駄だよ」
焦りを露にするアポロに向かって冷静に答えたのは、この部屋に居た人物ではなかった。
「ふぅ、どうやら間に合ったみたいだね」
「あなたは……エンジュの……」
アポロの神経が新たな侵入者へ向いた。
そのときシルバーはもう油断しなかった。
今がチャンスとばかりに、力の弱まったアポロの腕から抜け出した。
「お坊ちゃ――!」
「くっ!」
ハッとして伸ばしたアポロの手をすり抜け、シルバーは一気に逃げた。
「シルバー、大丈夫!?」
「別になんともない……悪ぃ」
掴まれていた箇所を擦りながら、シルバーが返答した。
自分が捕まってしまったことを心底悔やんでいるようだった。
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