時をかけるN
□ 集結と終結 5/11
「ここまでご苦労様でしたね。しかしあなたがたにできることはもうありませんよ」
アポロが恍惚そうな笑みを湛えて声色を上げた。
シルバーはアポロの腕から逃れようともがくが、大人と子供の力差は歴然としていた。
「くそっ……放せ、この野郎……!」
「ちょっと! シルバーに何すんのよ!」
「何もしませんよ? あなたたちが何もしなければ、ね……」
アポロが片腕でシルバーを押さえながら、もう片方でセレビィの檻を開けた。
「……あなたが、そんな卑怯な手を使うなんて思わなかった」
ヒビキが語気鋭く言い放つ。
それに対してアポロは嘲るように小さく息を吐いた。
「おや、卑怯などとは人聞きが悪いですね。どのみち、セレビィという強大な力をもった私に手も足もでないでしょう?」
「そんなこと――!」
ヒビキの言葉が途中で止まる。
そのまま押し黙って、アポロから目を逸らした。
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