時をかけるN | ナノ

時をかけるN


□ 集結と終結 4/11

「ちっ……」

 アポロが小さく舌打ちをする。

 シルバーは不覚にも、二人が来たことに安堵した。
 異様な雰囲気からやっと抜け出せたような気がして。



 その安心が油断となった。

「シルバーさま、協力していただきますよ」

「うわっ!」

 部屋の扉が開かれた瞬間、シルバーの体は己の意に反して大きく仰け反った。


「シルバー!」

 部屋の状況をいち早く把握したヒビキが、緊迫した調子で声を張り上げた。

「きゃっ、何!?」

 ヒビキの後から入ってきたコトネが、その光景を目にしてたじろいだ。


 セレビィの入った檻がデスクの上に置かれている。
 そしてそのデスクに寄りかかっているアポロは、シルバーの体をがっちりと押さえ、身動きを封じていた。
 シルバーが、ギッと音の鳴るほど強く歯噛みする。

 しかしこの状況は変えられなかった。

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