時をかけるN
□ 集結と終結 3/11
「しかしその瞳……確かにサカキさまと同じ輝きをもっていますよ。野心に溢れる孤高で美しい瞳です」
アポロは先程より大分表情を和らげて、シルバーに歩み寄った。
「黙れ。俺は親父とは違う!」
シルバーが吠える。
アポロはその怒鳴り声を介することもなく、シルバーの頭の上に自分の手を置いた。
「触るなっ……!」
「大きくなりましたね」
アテナと同じ台詞を口にしたアポロに、シルバーはニの句が告げず口をつぐんだ。
「今からサカキさまの下へ行くのですよ。ぜひ貴方も一緒に来ませんか? サカキさまも貴方の成長をお喜びになるに違いありません」
「何言ってんだよ――」
「シルバーさまも、過去に戻りたいと思ったことがありませんか? サカキさまとじっくり話し合うことだってできますよ。幼い頃よりずっと離れておられたのですから、今の姿で言いたいこともあるでしょう」
「ふざけるな! 話し合いなんてしなくていいっ!」
微笑みを崩さないまま淡々と言葉を並べるアポロに、シルバーの胸が不規則にざわめいた。
一抹の不安に駆られたシルバーがアポロから距離をとろうとしたとき、
「シルバー! そこに居るのね!」
ヒビキとコトネが部屋の前に着いたようだ。
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