時をかけるN
□ determination 8/10
「鍵穴があるけど……この部屋の鍵とは違うみたいだし、開けられないみたい」
大分平静を取り戻したコトネが、途方に暮れたように檻を見つめる。
「鍵は幹部の男が持ってるから、無理だ。ボクのことはいいからセレビィを助けに行ってほしい」
「そんなこと言わないでよっ!」
コトネが声を荒げた瞬間、部屋の中が突如明るくなった。
「そこの子どもたち、ドアは開けたら閉めなければなりませんよ?」
ゴルバットを従えたランスが、ダンボールをどけて現れた。
「そんなこと言ってお前だってドア閉めてねーじゃねーか。おっとそんなに睨むなよ、カッコよく登場したかったんだろ?」
さらに長身の男、ラムダが後を追って姿を現した。
「なっ!」
「幹部が二人も……!」
動揺を隠せないヒビキとコトネ。
「鍵を持ってる幹部とやらは私のことですかね?」
ランスがポケットからこれ見よがしに取り出したのは、小さな鍵。
その言葉からして、それが檻を開ける鍵だということを示している。
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