時をかけるN
□ determination 5/10
「そんなに欲しけりゃやるよ」
シルバーはぶっきらんぼうにそう言い放ち、ヒビキが触れているほうの拳を開いた。
その中には、銀色の鍵があった。
シルバーの手の中にあるそれを、ヒビキは自分の手でしっかりと掴んだ。
「ありがとう、シルバー」
「そっちには幹部とやらが来るらしいが、オレは弱いヤツと戦うのは面倒だからな」
「分かった分かった。じゃあシルバーは、行っておいで。ボクたちもすぐに行くから」
「お前らが来る前には終わらせてやる」
フン、と鼻を鳴らすシルバー。
ヒビキとコトネは笑顔で返した。
「…………ふふっ」
静かになった空間に、一人佇む女が居た。
「なんでかしら……。悲しい結末が待っているかもしれないのに、とても清々しい気分だわ」
アテナはポケギアを取り出した。
「もしもし? ごめんなさいね、負けてしまったわ。もうすぐそちらに向かうと思うから、相手してあげて頂戴ね……」
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