時をかけるN
□ determination 4/10
「こっちだって聞きたいことはいっぱいあるわよ!」
「でもどうやらお互い事情は理解してるみたいだし、それに今はそれどころじゃないでしょ?」
ヒビキは鍵を握っているシルバーの拳の上に手の平を重ねた。
「一個、ボクたちに任せてよ」
「別にお前なんかにっ……」
言いかけて、続く言葉を詰まらせた。
自分でも、つまらない意地だと思ったから。今重要なのはそんなことじゃない。
「まーまー、あたしたちにも活躍させてほしいってことね!」
コトネがシルバーの肩にポン、と手を置いた。
ヒビキたちは、シルバーが意地を抱えていることを察してくれていた。
わざわざそれを気遣って、気持ちを崩さないようにしている。
まったく……。
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