時をかけるN
□ determination 2/10
「……どっちも貰うに決まってんだろ?」
シルバーの双眸が闘争心を剥き出しに鋭さを増す。
「それでも構わないわよ? ただし、今頃あの子の部屋にラムダとランスが向かっているわ。あの子を助けるのに幹部二人を相手取ってる暇はあるかしら?」
「くっ……」
シルバーの表情に迷いが生じる。
「アポロはもうすぐ、セレビィを使って五年前に行こうとしているわ。過去を変えるために――そして、サカキさまに会うために」
アテナは、笑った。
「あなたが進むべき道はどこかしら?」
「何で……何でそんなこと……」
「あなたの信念が固いことは分かったわ。ただね、信念を貫くためには犠牲が必要なの。信念のために愛しい我が子を手放してしまうほどの決断力があるかしら?」
試すような言葉。
アテナの真意は掴めない。
「……オレは」
鍵へ手を伸ばす。
「オレは――!」
アテナに向かって強い眼差しを送る。
――そして、金色の鍵を掴んだ。
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