時をかけるN
□ 目眩く追憶 7/9
「どこかの部屋に入ってみる……?」
耐えかねたヒビキが控え目に提案した。
「でも、部屋の中にロケット団がいっぱい居たりしたらどうするの?」
少し考えて、コトネが反問する。
「これだけ声出してたらもう見つかってるはずだよ……。それに、人の声も聞こえないし」
そう返すやいなや、ヒビキは近くのドアに手をかけた。
「開けるよ?」
「う、うん……」
いつも強気なコトネも、どことなく弱腰にみえる。
ここは男としてもしっかりしなくてはと心にとめ、ドアを引いた。
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