時をかけるN
□ 目眩く追憶 3/9
シルバーとアテナの視線が交差した。
「……見張りがやられたのね。あなたは見張りの元へ向かいなさい。ここはあたくしがどうにかするわ」
「はい!」
静かな口調でアテナがしたっぱに指示すると、したっぱは二つ返事で引き受けて去っていった。
「さてと。こんな廊下でとやかく言うのもなんだから、そこの部屋にでも入りましょう?」
アテナはシルバーに、すぐ横にある扉を提示した。
シルバーの意思を確認するような問いかたではあるが、その語勢には有無を言わせないような迫力があった。
「……分かった」
シルバーはこくりと頷き、アテナに挑戦的な目を向けた。
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