時をかけるN
□ 目眩く追憶 2/9
入り口に一人。地下へ入ってから今の男を含めて三人。
本拠地のアジトにしては少ない人数だし、一人一人もしたっぱの中でも弱いほうにあたるだろう。
「大方、誰にも見つからないと思っていたんだろうな。ここをあいつらが使っていたのは、まだ結成初期の頃だったからか」
先ほど戦ってくれたニューラの手当てをする。とはいっても大したダメージは受けていないが。
いつ、どれだけの敵が来るか分からないから。
「居ました! あそこです!」
そう思っている矢先に、男の声と共に騒がしい足音が近付いてきた。
「ちっ、うざいな……」
足音のほうへ体を向け、臨戦体勢に入る。
逃げようなどとは思わない。
全員潰してやる。
「ガキめ! もう終わりだ!」
シルバーの前に立ちはだかったのは、息を切らした一人のしたっぱと――ロケット団幹部のアテナだった。
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