時をかけるN
□ 目眩く追憶 1/9
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「ニューラ! 戻れ!」
翳したモンスターボールへ、ニューラが戻っていく。
「な、何だこのガキ……! バカ強ぇぞ!」
その場に残ったのは倒れているズバットと、すっかり逃げ腰になっているしたっぱ。
「当たり前だ。オレはお前たちとは違う」
シルバーは吐き捨てるようにそう言って、男の横を通り過ぎた。
「くそ……! アポロさまにご報告しなくては!」
取り付く島もなくなった男は捨て台詞のようにそう言い残して、シルバーとは逆の方向へ走っていった。
「フン、やっぱり一人じゃ何もできない」
男の背中に軽蔑の視線を突き刺し、眉根を寄せた。
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