時をかけるN | ナノ

時をかけるN


□ どこまでも走る 5/7

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「ここが、トージョウの滝……」


 ヒビキとコトネは、トージョウの滝へと続く洞窟の入口に立っていた。

 外からも聞こえる水の流れ落ちる音が、滝の激しさを物語っていた。



「……入ろう」

「うん」

 腰に提げたモンスターボールには、各々のベストメンバーが控えている。
 持ち主の気持ちを反映するかのように、時々カタカタと揺れている。


「わっ、大きな滝……!」

 入った瞬間に聳える崖に、そこから流れる尽きせぬ水。
 二人の立つ入口からも水煙が届くほどだ。


「でも一体どこにアジトがあるんだろう?」

「洞窟自体はそんなに広くないらしいけど……洞穴みたいな場所なんてないよね」

 着いたはいいが、次の行動を起こせず右往左往してしまう。
 こんな時間すら、惜しいというのに。


「マツバさんに聞いてみる……?」

 途方に暮れたヒビキがポケギアを取り出そうとしたとき、コトネが突然声を上げた。


「あっ! あれ!」


 コトネが指差した先を見ると、滝の中腹辺り。
 ただの滝じゃないか……と言いかけて、ヒビキの視界もその姿を捉えた。



「シルバー……!?」

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