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帰る場所(レッド)

 目の前にあるのは、三年ぶりに見る自分の家。

 三年という時間が長いのか短いのかは分からないが、この家は旅立ったときとそう変わりなく僕を迎えてくれていた。






『レッドさんのお母さんに会いましたよ』

『……え』

『ずっと帰っていないんですよね?』

『そうだけど』

『少しくらい顔見せてあげたらどうなんですか? 心配してましたよ』


 つい先日、シロガネ山の頂で行われた少女との会話を想起する。

 彼女に言われたから――とまではいかないが、その会話がきっかけであることは確かだ。
 あとは、ただの気まぐれかもしれない。

 数年ぶりに我が家へ帰る理由が、気まぐれなんて言ったらおかしいだろうか。



「ピカチュウ、おいで」


 懐かしいマサラの地面を駆け回っていたピカチュウを呼び、玄関のドアを開けた。



 家のにおいが、自然と心を落ち着かせる。


「……あ」





「あら、おかえり」



 そのとき、分かった。

 家に帰る理由は、気まぐれでも良かったんだ。
 自分の場所に帰るのに、理由なんていらない。


 そう感じたのは、そこに変わらない母親の笑顔があったから。
 変わらない――いや、一瞬少し驚いて、次にとても優しい目を向けてくれた、そんな笑顔。





「ただいま」


...............

里帰りの季節はちょっと過ぎましたね
少女=コトネ

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