すとろべりー
特効薬(マツコト)
「また負けちゃったよ……」
私の隣に座り、肩に頭を乗せてそう呟く。
ジムでトレーナーに負けてしまったとき、彼はいつもこうする。
だから私はその頭を軽く撫でる。
柔らかい髪が手の平をくすぐる。
「今日は修行の調子も良かったんだけどなぁ……後半から悪い予感がしてきたんだよ」
しょんぼりした表情でグチグチ話すマツバさんは、本人には悪いけど正直――ちょっと可愛い。
「所詮ゴーストタイプなんて、悪タイプでイチコロなんだよ……」
どこぞの飛行使いみたいなことを言い出した。
どうやら相手は悪タイプ使いだったようだ。
「そんなことないですよ! マツバさん、弱点対策だってちゃんと考えてたじゃないですか」
「全然うまくいかなかったよ……」
「えっと、でも――」
言葉の限り慰めてみても、こういうときのマツバさんはなかなか立ち直ってくれない。
そしてしばらくしたら、こんなことを言い出す。
「コトネちゃん、慰めて」
「……現在進行形で慰めてるつもりなんですけど」
若干冷たい目線をマツバさんに送る。
「うん。言葉では慰めてもらったから、次は行動で慰めて」
意味不明な理屈に反論しようとマツバさんのほうへ顔を向けると、私の肩に頭を乗せたマツバさんは、体勢的に私のほうを見ると上目遣いになっていて――
「コトネちゃん、どうしたの? 顔が真っ赤だよ?」
「……全部計算ですか」
「えっ?」
「何でもないですっ!」
そして私はさっきより強めにマツバさんの頭をなでなでした。
「元気出して下さいねっ! これでいいですか?」
「えー、これだけ?」
「どうしろっていうんですか」
「あっちの寝室に……」
「今度負けてきたらワカバに帰らせていただきます」
「わぁ、冗談だよ。冗談」
「元気そうですね。じゃあもう行きますね」
「布団の中に?」
「……ゲンガー、シャドーボール!」
いつも彼の勝利を祈っています。
...............
オチが来い
ほのぼの→ギャグ→下ネタになってしまいました。負けて落ち込んでるのは本当でしょう^^^^
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