ぐれーぷ | ナノ

ぐれーぷ

取扱注意(レグリ)

 


 こんなに頻繁にシロガネ山へ行き来するのは俺ぐらいだろう。

 慣れてきたとはいえ、頂上までの道は入り組んでいてかなり険しい。


 そのことを含んでも、やっぱり俺はあいつに会いたい気持ちのほうが強いから。

 ……遠距離恋愛だ、ただの。




「レッド、俺だよ」


 いつものところまで登り、あいつの後ろ姿が見えてきたところで呼びかける。
 するとあいつは少し振り向いて『……うん』とだけ返してくれるんだが――


「……レッド?」


 返事がない。
 振り向いてさえくれない。


「どうした?」


 心配になり、さらに近付いてあいつの顔を見ようとした。
 途端、俺の視界はあいつでいっぱいになった。

 キス……された?

 と思った次には、俺は痛い程強くあいつに抱き締められていた。

 突然のことに、俺の心臓は胸を突き破りそうなほどに叩きまくっている。
 この体勢だと、あいつの顔は見えない。わけもわからず俺はとりあえず何か言ってみることにした。


「レ、レッド。本当にどうしたんだよ? 何かあったのか?」


 こんな辺境な地に一人で居て、一体何があるのかとは思うが。


 レッドは俺を抱き締めたまま、ようやく返事をくれた。




「……怖い夢、見たから」



 そう言ったレッドの声には、震えが感じられた。俺は思わぬ答えに軽く面食らう。


「怖い……夢?」


「うん」



「そ、そっか……」


 ……この状況はそろそろ心臓が保たないんですが。
 そんな俺の心の叫びなど分からずに、レッドは話し始めた。


「グリーンが居なくなる夢。怖かった」


 意外と可愛いところあるんだな……じゃなくて。もう俺の顔は真っ赤になっているだろう。


「そっか。大丈夫だ、俺はレッドが好きだからずっとここに居るよ。――でも、出来ればそろそろ離してほしいんだけどなー……」


「…………やだ」

「えっ」


「離さない」


「は? ちょ、レッド」

 レッドが俺の首元に顔を埋めた。サラサラとした黒髪が首に当たり、少しくすぐったい。



「……グリーン、大好き」


「なっ、いきなり何言ってんだよ!」

 レッドの突然の言葉に、誰が見ても分かるくらいに俺の顔が真っ赤に染まる。

 何なんだよ……やっぱりこいつは何考えてるか分かんないな。








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グリーンのことばかり考えてるよ!←
初レグリ。レグリって言ったらレグリです
グリーンはドキッとくる発言を素でサラリといっちゃうときもある子
お互いにお互いを取扱注意だと思ってそう

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