ぐれーぷ
理由を欲する理由(赤N?)
緑色の髪をした男の子が、白い翼をはばたかせた大きなポケモンと共にやってきた。
白で囲まれたこの場所で、その姿はあまりにも純白で、儚くみえた。
彼は言った。
「僕はチャンピオンをこえる」
僕に敗北した直後に、周りの白によく似合った青い瞳を向けて。
バトルの後に、そんな瞳をする人間を僕は初めて見た。
だから柄にもなく、話しかけてしまったんだと思う。
「……どうして、泣いてるの」
彼は自分の目の辺りに手を当てた。
「虚しいから……僕の夢はもう無意味なものなのに、どうしてこんなところまで来てしまったのか」
彼はまるで彼自身に問いかけるように呟いた。
そんな彼の姿はやはり、純粋で儚くみえた。
「じゃあ」
彼に近づく。
「意味をあげる」
彼の頬に触れる。
寒さからか冷たく、でも少し湿っている。
「僕を、ここから解放して」
僕の言葉が、彼にどんな意味をもたらしたのかは分からないけれど。
彼は目を見開いて、それから僕の肩に乗っているピカチュウを一瞥して、
「また来ます」
と、確かにそう言った。
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かっぷりんぐしてねぇ
殺伐とした赤Nも好きだ
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