ぐれーぷ | ナノ

ぐれーぷ

理由を欲する理由(赤N?)

 緑色の髪をした男の子が、白い翼をはばたかせた大きなポケモンと共にやってきた。

 白で囲まれたこの場所で、その姿はあまりにも純白で、儚くみえた。


 彼は言った。



「僕はチャンピオンをこえる」



 僕に敗北した直後に、周りの白によく似合った青い瞳を向けて。


 バトルの後に、そんな瞳をする人間を僕は初めて見た。

 だから柄にもなく、話しかけてしまったんだと思う。


「……どうして、泣いてるの」


 彼は自分の目の辺りに手を当てた。


「虚しいから……僕の夢はもう無意味なものなのに、どうしてこんなところまで来てしまったのか」

 彼はまるで彼自身に問いかけるように呟いた。
 そんな彼の姿はやはり、純粋で儚くみえた。


「じゃあ」

 彼に近づく。


「意味をあげる」

 彼の頬に触れる。
 寒さからか冷たく、でも少し湿っている。



「僕を、ここから解放して」



 僕の言葉が、彼にどんな意味をもたらしたのかは分からないけれど。

 彼は目を見開いて、それから僕の肩に乗っているピカチュウを一瞥して、


「また来ます」


 と、確かにそう言った。



―――――――――――――――

かっぷりんぐしてねぇ
殺伐とした赤Nも好きだ

[prev|next]

[ Back ]







人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -