ぐれーぷ
素晴らしい瞬間を、君と。(ミナマツ)
「もう年も暮れるな……」
今年もスイクンを求めて飛び回った。でも今だけはそれを忘れてここで――マツバの隣で、こたつでのんびりするのもいいだろう。
マツバの嬉しそうな表情も見れるし。
「ミナキくんっ、お正月の間はずっと一緒に居てくれるんだよね?」
「そのつもりだぜ」
その質問は年末までに何度も受けた。一緒に居られることを確認するように。子供が貰ったプレゼントを何度も眺めるように。
「あ、カウントダウン始まったよ」
「今年も終わるなぁ……」
「あはは、それさっきも聞いた」
こうやってマツバとゆっくり過ごす時間は、なんて貴重なものだろう。
こんなスイクンを追いかけてばかりの私にも変わらず付き合ってくれて、笑顔を向けてくれるマツバが堪らなく愛おしい。
「マツバ……」
そっとマツバの腰に両手を回す。
「わっ、なぁに?」
「今年最後のマツバを体感しようかと」
「何それー……」
顔をマツバの胸元にぎゅっと押しつけると、マツバの匂いがした。
マツバの口調から、嫌がってはいないことが分かったので、このままでいる。
「あ、あと十秒だって」
照れ臭くなったのか、テレビを指差してマツバが話題を逸らす。
言わなくとも、ばかでかい声でテレビの中のタレントがカウントダウンを行っている。
『5』
「マツバ、こっちを向いてくれ」
『4』
「え?」
『3』
抱き締めたまま顔を近付ける。
『2』
「年越しキスしようぜ」
『1』
「はっ? ――んっ」
『あけましておめでとうございます!』
「あけましておめでとう、マツバ」
「あ、あけましておめでとう……じゃないよっ!」
途端に両手で私の胸を押し出すマツバ。顔が真っ赤だ。
「年越しキ、キスって何……!」
「何となくしたかったから……」
「何それーっ!」
「年越しってテンションあがるな」
「……バカみたい」
マツバは唇を押さえながらそっぽを向いた。
「年が変わる瞬間にマツバを感じられて良かったぜ」
「っ……!」
マツバが耳まで赤くなった。
そんなところも可愛いぜ、と思った自分の頬も何だか熱かった。
「こ、今年もよろしくお願いします」
「……こちらこそ」
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あけおめです。
突発的に書きました
甘々にもほどがある
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