ぐれーぷ | ナノ

ぐれーぷ

君の傷をえぐり続ける(ラン→マツ→ヒビ)

 何故?

 何故あなたは笑うのですか?




「再戦ありがとうございました!」

「こちらこそ。また電話してね」


 そう言いながら微笑み、去っていく少年に手を振っている。

 全てを持っていった少年に。



「あなたって人は……」


 真後ろで呟くと、彼の驚いた目が私をとらえた。


「居たの!?」

「ええ、随分と前から」

「……ヒビキくんに見つかっても、僕知らないから」


「それですよ」

「何が?」

「どうして彼に優しくするんですか?」

「……え、どうして、って」

 私が語調を強めれば、すぐに怯えたように身を竦ませる。そんな姿に愛おしさを感じつつも、さらに詰め寄った。


「全てを奪われたんですよ? あなたの願いを、想いを、望みを」

 こんな言葉を言われるだけでも、動揺が隠しきれなくなるほどに強い傷をつけられたんですよ?


「…………そう、だけど」


「ならば憎むべきです、あの少年を」



 一緒に憎みましょう。

 だって憎いでしょう?


 愛しい人の夢を奪って

 愛しい人の心も奪ったのだから。









―――――――――――――――
なにこれややこしい

文の背景や二人の関係は各自妄想で補ってやって下さい。

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