殺気
―――――
『べ…別に良いよね逃げようなんて思ってないし散歩くらい…。』
やっぱり迷いやすい所だから、自分の部屋の場所くらい覚えておこう。
歩いていて30分くらいたっただろうか。
『っあー。やっぱつまらない!!
そりゃ歩くだけだし当然なんだけど…。
外…出れないかなー。』
独り言を言っていた名前だが、別の声が聞こえた。
「無理なんじゃねーのー?おまえ最近、捕まったって噂の女だろー?」
(ブラックスペル…?)
『…あのー私散歩してるだけなんで、じゃ』
(変な事に巻き込まれるのはごめんだ。まあ攻撃もできないだろうし)
相手の質問を無視して歩き出す名前。
全く相手にもしないといった態度が、かんにさわったのか
男は名前の襟をつかんで頬を殴った。
───バシッ
『──ッきゃ!!』
叩かれた名前はそのまま床に叩きつけられた。
『いた……ッ』
(普通女にグーで殴るか普通…)
切れた口の端から血が垂れてきた。
「あんまナメてんじゃねーぞ」
(ナメてないんですけど。どんだけ短気なんだ。こいつ等に限ったことじゃないけどさ…)
「おい…聞いてんのか」
『…っ』(怖い。前みたいにピンチな時に現れる"私"出ないのかな…)
腰が抜けて立てないから逃げられない。殺られはしないだろうけど、何されるか分かったものじゃない。
名前が恐怖に目を瞑った時
「なーにしてんの…?」
「!?……びゃく…らん様!!」
『え…』
白蘭さん…何でここに。
「またいなくなったと思って探してみれば、またかい?名前」
"チャン"が付いてない!!怒ってるよこれ。(どんな基準だ)…やばいじゃん。
「あぁ。君の処分は面倒だから後で決めるよ。」
「…っ」
男に言いつける。
白蘭さんはいつもの笑みに戻ったが、今までにない冷たい笑みだった。
ほら、行くよ。と言われたが腰が抜けている名前には無理な話だった。
「なんだ、立てないんだ。」しょーがないなぁ。と言いながら白蘭は名前の手を引っ張り持ち上げる。
(………姫抱き…。)
普通は照れるとかする所だが、怒ったそれも、殺しそうなオーラを出した人にされても顔が近くなるから怖くて仕方ない。
冷や汗をたらしながら、部屋に戻された名前だった。