§合言葉は『*****』


2012/04/12 19:36




杖を突き付け、低く問う。

「ホグワーツには眠り姫のような存在が"あ"るという。それは―――貴様なのか」
「…ならば、そうでしょうね」
肖像画を潜ったその隠し部屋の中央、豪奢な天蓋付きの寝台に腰掛け、笑う"異形"。
髪も肌も白い中で、うっすらと笑う双眸だけが碧かった。

「あげるわ」
「は?」
「あげるわ。物語のページを。―――きっと、それが望みなんでしょう?」

ねぇ、ヴォルデモート卿。

そう囁くメッゾソプラノに突き付けていた杖を下ろし、怖気が走るほどの笑みを浮かべてみせる。
いっそ吸い込まれてしまいそうな―――碧眼。重たげな白い睫毛に縁取られた、二つの魔力ある宝石へ。
「いいや?」
否定の言葉。ひたり、と重なる視線。
不健康に薄い肩を掴み、押す。無抵抗に向こうへ―――寝台の上に倒れる、華奢な少女の体躯。
ばさ、とリネンの海に異質な白が広がった。

「お前だ。―――お前が欲しい」




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