§城主の為のグレイブ・グレイス


2013/06/25 19:20



「――あ、」
「……久しぶりだね、エリナ」
「日本、語」
「ううん、違うよ。此処は、現実の条件にはもう縛られない場所だから。僕には、君が話すのは英語に聞こえてる」
「……そっか。やっぱり、私も死んだんだね」
「うん。ねぇ――…何で君、ホグワーツに、あの戦いの時に戻って来たの。危険だって、死ぬかもって、分かってたんじゃないのかい?」
「そう言われると、わかんないよ。…でも、手伝わなくちゃ、って。見殺しにはできない、って。――日本に居る家族とか、小学校の友達とか、何年も会ってない幼なじみとか…謝らなきゃ、いけないだろうね。もしかしたら、私の死体、日本にも帰れないだろうし」
「………」
「でもね、セドリック。私は後悔してないよ。私なんかでも、役に立ったから。…ほら、フレッド・ウィーズリー、生きてるでしょ」
「……家族の所に、帰れない…か」
「ほら、イギリスと日本、そんな近くないからね。あと、あの場に知り合い居ないもん。私の家自体も、魔法界との接点も多くないし…帰る前に、確認作業とか色々してる間に、だめになっちゃいそうだなって」
「そっか。そうだよね。…僕は、ハリーがあの場に居て、頼む機会もあったけど…エリナには…うん」


「…そういえば、あのカード」
「あぁ、うん――本当はトーナメントで優勝したら、ちゃんと渡そうと思ってたんだけど」
「………」
「"******"――それまでも、あの時もね。今もかもしれない」
「そっか。ありがと、セドリック。――私もだよ」
「……うん?」
「気付けばよかったのにね。チョウに何か言われたからって、遠ざける必要はなかったんだ。チョウのセドリックへの"love"と私のとでは、ちょっと意味が違うんだから、意味がない」
「え…え?」
「"I have an affection for you"――私のは、こっちだから」
「(…逆に照れるのは何でだろう)」
「私、セドリックに会えて――ハッフルパフで、よかったなって思うの。私が壁作ってただけで、ほら、貴方とかみたいに優しい人も居るって気付けた。…まぁ、気付いたのは遅すぎた訳だけど」

「辛いことも多かったし、最後はあんなだけど、後悔なんてないよ。――…あえて言うなら、もっと早く気付きたかった、それだけだよ」


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